第76回獣医師国家試験について

「獣医師国家試験」について

獣医師になるためには、獣医学部で必要な単位を取得し獣医師国家試験をクリアすることが必要です。獣医学部6年間の集大成ともいえる試験ですので、万全の態勢で受験したいものです。2月に控える獣医師国家試験の概要や合格率、対策について紹介します。

 

獣医師国家試験の概要

2024年度年度の獣医師国家試験(第76回)は令和7年2月12日(水曜日)と2月13日(木曜日)の2日間にわたって行われます。合格者の発表は令和7年3月12日(水曜日)で、農林水産省ホームページの報道発表資料のページにその受験番号を掲示して発表されます。

 

試験は必須問題に対する試験、学説に関する試験および実地に関する試験に分けて行われます。範囲は獣医学全般にわたり、出題範囲は平成26年9月4日に決定された獣医師国家試験出題基準によります。

 

試験の出題数は、必須試験50問、学説に関する試験は160問、実地に関する試験は120問とし、合計330問です。回答形式はすべてマークシートです。

 

合否判定基準は「必須試験 70%(必要な補正を行って算出した点数に対して)」「ほかの問題(学説A・B、実地C・D) 60%(必要な補正を行って算出した点数に対して)」となっています。

 

また、試験会場は北海道、東京、福岡の3会場のみとなっていて、会場はそれぞれの都道府県に1会場のみですが、希望の受験場所は申請することができます。

 

提出書類等の受付期間は令和6年12月18日(水曜日)から令和7年1月10日(金曜日)で、受験料は13,900円です。受験料や出願方法などは第76回獣医師国家試験の細目に記載されています。必ず確認して、不備・不足がないようにしておきましょう。 

 

獣医師国家試験の合格率

2024年2月に実施された第75回獣医師国家試験は「受験者:1,394人」「合格者:1,013人」で合格率は72.7%でした。新卒の受験者数は1,029人、合格者は868人で合格率は84.4%。既卒の受験者は348人、合格者は137人で合格率は39.4%と、既卒者の合格率はかなり低くなります。

 

また、2023年度の獣医師国家試験には52年ぶりの獣医学部新設ということで注目を集めた岡山理科大学獣医学部獣医学科の第1期生が獣医師国家試験に臨みましたが、合格率67.5%となりました(入学者147人、受験者114人、合格者77人)。

 

【2023年度の大学別の合格状況】

大学 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%) 合格順位
帯広畜産大学 38 32 84.2 3
北海道大学 40 37 92.5 12
岩手大学 28 24 85.7 10
東京大学 23 14 60.9 17
東京農工大学 41 37 90.2 5
岐阜大学 29 28 96.6 2
鳥取大学 35 34 97.1 1
山口大学 27 22 81.5 14
宮崎大学 27 25 92.6 4
鹿児島大学 32 28 87.5 8
大阪公立大学 41 33 80.5 15
酪農学園大学 118 101 85.6 11
北里大学 108 96 88.9 6
日本獣医生命科学大学 78 69 88.5 7
麻布大学 129 107 82.9 9
日本大学 121 104 86.0 13
岡山理科大学 114 77 67.5 16

2021年度までの合格率は80%台を維持していましたが、2022年度の合格率は69.9%と極端に低くなりました。しかし、2023年度は72.7%とやや回復しました。

獣医師国家試験対策のポイント

 

獣医師国家試験の出題内容と合格基準についてまとめました。

問題数 出題内容
必須問題 50問 「獣医療の基本的事項」及び「獣医学の基本的事項」「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」のうち重要な事項
学説A 80問 「獣医療の基本的事項」及び「獣医学の基本的事項」
学説B 80問 「衛生学に関する事項」及び「獣医学の臨床的事項」
実地C 60問 原則として「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」について、獣医療現場で実際に起こり得る症例・事例に関する基本的かつ重要な事項
実地D 60問 原則として「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」について、獣医療現場で実際に起こり得る症例・事例に対する対処方法等の総合的な事項

 

【合格基準】

試験の合格基準は、筆記試験と実地試験の両方で基準以上の点数をとることが必要です。

必須問題:7割以上(50点満点中35点以上)

学説A~実地D:6割以上(280点満点中168点以上)

 

【対策】

💡注意しなければならないのは、以上のように2つに分けて判定が行われるということです。必須問題で16問間違えると不合格になりますので、必ず必須問題をクリアするように対策を立てるようにしてください。

 

・必須問題のレベルは決してハイレベルではなく、全範囲から基本的な内容が出題されています。通常の試験対策の勉強をしていれば解ける内容となっています。

 

・学説問題は必須問題よりも難易度の高い問題が多く、全範囲から出題されます。過去問を確認すると年度によっては家畜からの問題が多くなる場合がありますが、全分野からまんべんなく出題されます。過去問題をしっかり確認し、よく出題される問題を失点しないように対策をたてましょう。

 

・医師国家試験、薬剤師国家試験などでは選択肢問題で選んでしまうと失格になる解答があり「禁忌肢」と呼ばれます。医療の現場では患者の生死にかかわる判断を下す場合に間違った選択をすることがあってはいけないという理由で、禁忌肢付きの問題が出題されます。禁忌肢を規定回数選ぶと合格基準点に達していても不合格になります。

 

・獣医師国家試験では禁忌肢はありませんが、獣医師は動物の命を預かる仕事ですので、業務上絶対にしてはいけないことを熟知し、知らなかったということがないようにしましょう。

まとめ

獣医師国家試験の概要、合格率、対策について解説しました。会場が全国で3か所しかありませんので、遠方の試験会場になる場合は早めに交通機関と宿泊予約を行いましょう。