第78回獣医師国家試験に向けて~何が変わりどう備えるのか?既卒生合格32.4%からの合格!
とくに注目したいのが、第77回で既卒生の合格率が32.4%にとどまったことです。既卒生が苦戦した背景には、単なる知識不足だけでなく、CD問題を苦手とするあまり、得点を伸ばしやすいAB問題の学習比重が高くなり、結果として試験全体への適応が不十分になったことも一因として考えられます。
第78回獣医師国家試験で何が変わるのか
第78回から適用される新しい出題基準では、出題範囲が「獣医療の基本的事項」「獣医学の基本的事項」「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」の4つに整理されました。
第77回までにも、基礎、衛生、臨床、法規や倫理に関する出題はもちろんありました。しかし受験生の実感としては、過去問から頻出論点を拾い、学説A・Bで得点を積み上げ、実地C・Dを何とか耐えるという対策が成立しやすい面がありました。
第78回では、国家試験が「どのような獣医師を合格させたいのか」を、出題基準の側からより明確に示したことが大きな違いです。単に知識があるだけではなく、倫理、法規、公衆衛生、基礎、臨床、判断力を一体として持っているかが、より強く問われる試験に近づいたと考えるべきです。
第77回までとの違いは「出題の軸が明文化された」こと
第77回までの国家試験では、受験生側が過去問から傾向を逆算し、「どこを重点的に覚えれば得点しやすいか」を探りながら対策する側面が強くありました。
一方、第78回では出題基準そのものが整理され、各分野で何が求められるかが明確になっています。とくに「獣医療の基本的事項」が最初の柱として置かれたことは重要です。ここには、獣医師の役割、倫理、アニマルウェルフェア、インフォームドコンセント、関連法規、行政組織、歴史などが含まれます。
| 〜第77回まで | 第78回〜 | |
|---|---|---|
| 出題基準 | 受験生が過去問から傾向を逆算 | 4分野に体系化・明文化 |
| 法規・倫理 | 「直前に詰める」周辺知識 | 中核の柱として位置づけ |
| CD問題 | 応用問題として位置づけ | 現場の判断力を測る中心的問題群 |
| 対策の方向性 | AB偏重でも合格の余地あり | AB⇔CDの一体型学習が必須 |
第77回までであれば、法規や倫理を「直前に詰める領域」と見なす受験生も少なくありませんでした。しかし第78回では、これらは周辺知識ではなく、獣医師国家試験の中核の一つとして位置づけられています。ここが大きな違いです。
実地C・D問題の意味がさらに重くなる
新しい出題基準では、実地Cは、衛生学や臨床的事項について、現場で起こり得る症例・事例の基本的かつ重要な事項を問う問題とされています。実地Dは、そうした症例や事例に対する対処方法など、より総合的な判断力を問う問題です。
この整理によって明確になったのは、C・D問題が単なる応用問題ではなく、獣医師として現場でどう考え、どう行動するかを測るための中心的な問題群だということです。
第77回までもC・D問題は重要でしたが、第78回ではその役割がよりはっきり示されました。今後は「ABで稼いでCDをしのぐ」という発想は、さらに危うくなると考えられます。
第77回で既卒生の合格率が低かった背景
第77回では、既卒生の合格率が32.4%にとどまりました。この結果は、既卒生が一様に基礎力不足だったというより、試験への向き合い方に構造的な問題があったことを示している可能性があります。
既卒生は、一度学習した経験があるため、学説A・Bのような知識問題には比較的取り組みやすい傾向があります。過去問を繰り返し、知識の穴を埋め、暗記量を増やすことで、点数が伸びる感覚も得やすいからです。
その一方で、実地C・D問題は、症例や事例を読んで判断する力が求められるため、苦手意識を持ちやすい領域です。そしてCDを苦手とするあまり、得点を伸ばしやすいAB問題の勉強に学習時間が偏る傾向があったことが、既卒生の合格率が低くなった原因の一つと考えられます。
つまり、既卒生の低迷は単なる知識不足ではなく、ABに偏りやすく、CD対策が後回しになりやすい学習配分の問題として捉える必要があります。
AB偏重の学習がさらに通用しにくくなる
第78回では、AB問題が不要になるわけではありません。むしろ、基礎知識は引き続き合格の土台です。しかしその知識を、実地C・Dで使える形にまで高めなければ、試験全体では得点が伸びにくくなります。
とくに臨床分野では、疾患について「病因、病原性、疫学、病理、症状、診断、治療、予防、予後」まで、標準的な教科書レベルで問われることが示されています。これは単語の丸暗記ではなく、疾患を流れで理解する力が必要だということです。
第77回までのように、出やすい知識を覚えてABで得点することを中心に組み立てた学習だけでは、第78回では不十分になる可能性があります。今後は、ABで覚えた知識をCDで使えるようにする一体型の学習が必要です。
法規・倫理・動物福祉も軽視できない
第78回では、「獣医療の基本的事項」が前面に出たことで、法規、倫理、アニマルウェルフェア、インフォームドコンセントといった領域の重要性も増しています。
第77回までにもこれらの知識は必要でしたが、受験生の中には「最後にまとめて覚える分野」と位置づけていた人もいたはずです。しかし第78回では、その考え方は危険です。なぜなら、これらの内容は単独の知識問題にとどまらず、実地問題の背景にもなりうるからです。
臨床判断がある程度できても、説明責任、法的枠組み、動物福祉、公衆衛生の視点が抜けていれば、国家試験が求める獣医師像には届きません。ここも、第77回までとの大きな違いとして意識すべきです。
既卒生は第78回に向けて何を変えるべきか
既卒生・再受験生がまず変えるべきなのは、「ABで稼いでCDは耐える」という発想です。第78回では、ABとCDを切り離して考える勉強法は限界があります。
疾患を覚えたら、その症例問題でどう問われるかを確認する。ABの知識をCDの文脈で再確認することで、使える知識に変わります。
衛生学を学んだら、現場ではどのような判断になるかまで考える。知識と判断力を一体として鍛えることが重要です。
法規や倫理を覚えたら、診療や公衆衛生の場面でどう関わるかを理解する。この往復が第78回の合否を分けます。
CD問題への苦手意識を放置せず、症例を読み、根拠を言語化し、なぜその判断になるのかを説明する訓練を行います。
また、既卒生はCD問題に対する苦手意識を放置しないことが重要です。独学では、どうしても目に見えて得点が伸びやすいAB中心の勉強になりがちですが、それでは第78回には適応しにくいでしょう。
Meg獣医師国試予備校が考える第78回対策
Meg獣医師国試予備校では、第78回対策の本質は、知識量の追加よりも勉強法の再設計にあると考えています。
第77回で既卒生の合格率が32.4%にとどまった背景には、CD問題への苦手意識からAB偏重になりやすい学習構造があったと考えられます。だからこそ第78回では、知識を増やすだけではなく、知識をどう使うかまで学習の中で鍛える必要があります。
症例を見て何が起きているのかを整理する力。どの情報が重要かを見抜く力。選択肢を比較し、優先順位をつけて判断する力。さらに、法規、倫理、動物福祉、公衆衛生を含めて、獣医師として妥当な行動を考える力。これらを一体として育てることが、第78回に向けた本当の対策です。
既卒生・再受験生・現役生それぞれの現状に合わせ、知識整理だけでなく、実地問題に必要な思考力、判断力、説明力まで含めた指導を行っています。第77回までの延長ではなく、第78回に合う勉強へ切り替えることが、合格への最短ルートになります。
著者プロフィール
岩崎 陽一(いわさき よういち)
大手学習塾、国家試験予備校、医学部受験予備校での指導経験を経て、2011年に株式会社アクトを創業。現在は、Meg獣医師国家試験予備校をはじめ、医師国家試験、歯科医師国家試験など、医療系7部門において国家試験対策および進級指導に携わっている。
長年にわたり、多様な受験生・学習段階に向き合ってきた経験をもとに、国家試験の出題傾向、合格率の推移、出題形式の変化を継続的に分析。特に、近年の国家試験で重視される、単なる知識量だけではなく、思考力・判断力・臨床的文脈の理解を要する出題の変化を読み解き、受験対策へ具体的に落とし込むことを得意としている。
岩崎氏の強みは、歯科・医科・薬学を含む医療系7部門を横断して国家試験指導に携わっている点にある。単一領域にとどまらず、複数資格に共通する出題構造、制度改定、評価基準、学習設計の変化を俯瞰できるため、国家試験の動向をより立体的に分析できる。このような医療系国家試験を横断して得られる知見は希少性が高く、受験指導と試験分析の両面において大きな強みとなっている。
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