進級・卒業試験 克服講座:苦手科目別リカバリープラン

── 基礎4科目(生物・化学・解剖・病理)を「応用できる知識」に変える戦略
はじめに:進級・卒業試験は「臨床への最終チェック」
医療・獣医・歯学系の学生にとって、進級・卒業試験は単なる学年末テストではありません。それは、**「臨床へ進むための学力の最終確認」であり、国家試験レベルの出題を想定した「実践力テスト」**ともいえます。
しかし現実には、苦手分野が克服できず、暗記中心の勉強で効率が上がらない学生が少なくありません。
本記事では、進級・卒業試験を確実に突破するための科目別リカバリープランを紹介します。特に「生物」「化学」「解剖」「病理」という基礎4科目に焦点をあて、**“覚える”から“使える”**へ学びを転換する方法を具体的に解説します。
第1章 試験を突破する3つの原則
- 苦手分野を「構造的に」把握する
漠然と「苦手」なままでは改善できません。まずは以下の手順で苦手の**“正体”を明確化**しましょう。
- 過去問題・模擬試験を解く。
- 分野ごとに正答率を可視化する。
- 正答率50%未満の単元をリスト化する。
克服の第一歩は、弱点を**“点でなく線”**でとらえることです。
- 暗記中心ではなく「概念のつながり」で覚える
医療系の学問は、すべての知識が相互に関連しています。単語や図だけを暗記しても応用がききません。
- 例: 化学の酸塩基平衡 → 生理学のpH維持 → 病理の代謝性アシドーシス
分野間の関連を意識することで、知識が**“使える”形**に整理されます。
- 反復よりも「出力型学習」を増やす
ノートまとめや教科書の読み返しよりも、問題演習、説明練習、ミニテストを中心に学習しましょう。人間の記憶は、**「思い出そうとする」**過程で定着します。
毎日15分でも構いません。**“読む”より“答える”**学習を意識することが、最短の合格ルートです。
第2章 生物:基礎理解を“動的プロセス”でつなぐ
生物は進級試験・国家試験のすべての基盤です。苦手の多くは「断片的な暗記」に原因があります。
| 克服戦略 | 内容 | 学習法 |
| 生命現象の流れを図で整理 | DNA → RNA → タンパク質 → 代謝 → 器官機能 | 「矢印」で関連を描き、動的プロセスで記憶 |
| 基礎生化学との統合 | 代謝経路(解糖系・TCA回路)を“ストーリー”で覚える | 例:「糖が分解されてATPを生み出すまでの道筋」 |
| アクティブ暗記 | 教科書を読んだら、図を隠して説明してみる | 同級生と「なぜそうなるのか」を口頭で説明し合う |
【直前期の最終確認】
細胞分裂・遺伝子発現・酵素反応のメカニズム、ホルモンとその分泌腺・標的器官の関係。
第3章 化学:反応原理を「なぜそうなるか」で理解する
化学は「丸暗記」ではなく、「法則理解」がすべてです。特に医療系では、生化学や薬理とのつながりを意識することが鍵です。
| 克服戦略 | 内容 | 学習法 |
| 反応機構を“言語化”する | 例:「酸はH⁺を出す」「塩基はH⁺を受け取る」 | 化学式でなく**“意味”**で覚える |
| 頻出テーマを3本柱で整理 | 酸塩基平衡、酸化還元反応、化学結合と分子構造 | 基礎原理を応用可能にする |
| 生理現象とのリンク学習 | pH変化 → 酸素運搬、電解質バランス → 神経伝達 | 知識の横断的接続を意識 |
【直前期の最終確認】
Henderson-Hasselbalchの式、酸化還元反応の電子授受、結合エネルギーと安定性の関係。
第4章 解剖:構造を「立体」で覚える
解剖は単語量が膨大ですが、本質は「構造理解」。三次元での位置関係を把握できれば、暗記量は激減します。
| 克服戦略 | 内容 | 学習法 |
| “上・下・左・右・前・後”を意識して立体記憶 | 模型・アプリを併用し、位置関係と方向性を固定化 | **「立体で覚える」**ことを最優先 |
| 機能とセットで覚える | 解剖名だけでなく「その部位が何をしているか」を説明 | 例:「腎臓 → ネフロンで再吸収・分泌」 |
| 疾患名から逆引き復習 | 「胆石症 → 胆管の走行」のように臨床から構造を学ぶ | 臨床との接続を強化 |
【直前期の最終確認】
主要動脈・神経の走行経路、骨格構造と筋付着部、消化・呼吸・循環器系の臓器配置。
第5章 病理:メカニズムで“現象を説明できる”ようにする
病理は「理解すれば得点源」「暗記すれば限界がある」科目です。出題傾向は、病態のプロセスを説明する**“思考型問題”**です。
| 克服戦略 | 内容 | 学習法 |
| 原因 → 変化 → 結果の流れを整理 | 例:「慢性炎症 → 線維化 → 臓器機能低下」 | 一つの病気を**“プロセスの物語”**で覚える |
| 正常組織との比較で覚える | 病変を覚える前に「正常組織構造」を把握する | 比較することで異常が理解しやすくなる |
| 臨床症状との接続 | 臨床症状(発熱・黄疸など)を逆にたどり病態理解 | 病理は**“結果の学問”**と捉える |
【直前期の最終確認】
炎症・腫瘍・壊死・変性の違い、主要臓器の代表的疾患、腫瘍の悪性度・転移経路の分類。
第6章 学習スケジュールと戦略
| 期間 | 重点的な活動 | 目的 |
| 1か月前~2週間前 | 苦手単元リストに基づき、1日1科目復習 | 基礎知識の抜け漏れを潰す |
| 2週間前~3日前 | 分野横断的な問題演習、つながり問題を解く | 知識の統合と応用力を強化 |
| 前日 | 新しい問題に手を出さず、要点ノートとチェックリストのみ確認 | 睡眠・食事・体調管理を最優先 |
第7章 試験当日のマインドセット
- 焦らない: 1問の難問に固執せず、基礎問題で確実に得点する。
- 見直しは“自信がない問題のみ”: 変更率が高いほどミスも増えるため、最初の直感を信じる。
- 終了後の振り返りを即実施: 失点の原因を分析し、「なぜ間違えたか」を記録に残す(次の学年・国家試験対策)。
まとめ:苦手は「戦略的に潰す」ことで必ず克服できる
進級・卒業試験は、知識量より整理力と応用力が問われます。苦手を闇雲に埋めるのではなく、科目別に戦略を立てて克服することが成功の近道です。
- 生物: 流れを図でつなぐ
- 化学: 反応の意味を理解する
- 解剖: 立体構造で記憶する
- 病理: 原因から結果を説明する
この4科目の理解が深まれば、国家試験でもそのまま得点源になります。「暗記型」から**「活用型」へ——進級試験を“ゴール”ではなく、“プロへの通過点”**として乗り越えていきましょう。
Meg講師:平松 育子 先生
平松育子先生は、山口大学農学部獣医学科(現 連合獣医学部)を卒業された獣医師です。
卒業後は山口県内の複数の動物病院で代診として経験を積まれました。その後、山口市でご自身の動物病院を開業され、現在は大手動物クリニックの院長を務めていらっしゃいます。
授業においては、その豊富な臨床経験に基づいた、わかりやすく丁寧な解説が受講生から好評を得ています。