第76回獣医師国家試験総評|2025年の傾向と難易度

【国家試験 総評】第76回 獣医師国家試験 解説

はじめに

今回は、令和7年2月12日(水)・13日(木)に実施され、令和7年3月12日に合格発表が行われた第76回獣医師国家試験の総評(解説)を行います。

 

受験者数は1440人、合格者数は1036人、全体的な合格率は71.9%という結果でした。

 

前年に比較しての問題傾向や難易度の変化、問題解説を行います。

 

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≪出題内容≫

獣医師国家試験は、獣医学の基礎知識とある程度のレベルの実践的な知識が問われます。

 

獣医師国家試験の出題内容と合格基準について先に確認しましょう。

■出題内容と出題数

必須問題:50問
獣医療の基本的事項・獣医学の基本的事項・衛生学に関する事項・獣医学の臨床的事項

 

学説A:80問
獣医療の基本的事項・獣医学の基本的事項

 

学説B:80問
衛生学に関する事項・獣医学の臨床的事項

 

実地C:60問
原則として「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」について、獣医療現場で実際に起こり得る症例・事例に関する基本的かつ重要な事項

 

実地D:60問
原則として「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」について、獣医療現場で実際に起こり得る症例・事例に対する対処方法等の総合的な事項

 

■合格基準
必須問題:約7割以上(35点以上/50問)
それ以外:6割以上(168点以上/280点)

≪第76回獣医師国家試験の概要≫

 

今回の試験でまず言及したいのは、合格率です。

 

問題内容が違うので一概には言えないと思いますが、第71回の合格率は86.5%ですが今回は71.9%と合格率に14.6%の差があります。
難易度が高くなり、出題範囲が広がったことも影響しているのではないかと思います。

 

少々マニアックな問題も散見しており、受験生が網羅する範囲が広がっているという感じは否めません。
今回は必要な補正を行ったとされており、問題の難易度に応じて点数が調節されたことがうかがえます。

 

■全体的な印象

問題を解いてみた印象としては「難しい」と感じる問題が多くありました。

 

しかし、明らかに得点源となる基本的な問題もあり、確実に正解しなければならない問題を落とさず、消去法で正解に持ち込む問題をできるだけ得点することで合格基準点に近づくことは化膿だったのではと感じます。

 

また、丸暗記の問題だけでなく少々応用したり、違った角度から考えるような問題もあり、実践でどこまで持てる知識を活用して正解を導き出すかといった思考力を問う問題もありました。

 

■各問題の振りかえり

必須問題:
必須問題に関しては、必須というタイトルの通り非常に基本的な内容でした。
一部、野良猫に関するような教科書以外の学習や社会的なことに関する情報を問う設問もありましたが、常識的に考えていくことでクリア可能だったのではと思われます。
難易度的には例年通り又は少し下がったと言えるでしょう。

 

典型的な寄生虫の問題として
問32 日本住血吸虫の中間宿主はどれか。
という問題が出題されています。決して間違えてはいけない問題です。別で解説します。

 

A問題:
A問題に関しては今まで出題されなかった内容やひねった設問が多く、難易度が高くなったという印象を受けました。
しかし、すべてが難易度が高いという訳ではなく確実に正解をとるべき問題も配置されており、難問に目を向けすぎず冷静に取り組むことが必要であったと感じます。
消去法で明らかに違う回答を除外し、最終2択で知識を試されるという設問が多く見られました。

A問題で確実に得点しなければならない問題の一例としては
問55 血管内吸血型の節足動物はどれか。
という設問です。別で解説します。

 

B問題:
B問題では80問中21問が家畜に関連する問題でした。
後半4問は魚病に関する問題でスタンダードなものが多かったのですが、一部魚病学のマイナーな知識を問う設問もありました。
全体的には平年並みで、ところどころ細かな知識を問うものもありましたが、合格基準点はとってもらいたい内容でした。

 

B問題で特徴的な問題としては、
問77 魚類の寄生虫病と特徴的な病変の組合せとして適当なのはどれか。
という設問がありました。魚病学には大きなウエイトをおかないかと思いますので、別でまとめの解説をいたします。

 

C問題:
C問題は少々難化した印象を持ちました。
出題傾向は例年通りで、統計的な問題・病理組織・公衆衛生に関するもの・臨床的な物などまんべんなく出題されています。
基本的な知識をまとめ上げて考える問題が実地問題の特徴でもありますので、暗記+実践を意識した学習が必要とされます。
C問題では心電図の問題が出題されていますが、第90回日本ダービーでレース途中で体調を崩し急性心不全で亡くなった馬の病状を踏まえてのことかもしれません。

 

課題6 次の文を読み、問11、問12に答えよ。
馬、サラブレッド種、雌、2歳齢。
レース中盤で急激に失速し、聴診で不整脈を確認した。
〔図6〕はレース翌日の安静時の心電図(AB誘導)である。

実地問題ですので画像は著作権の都合上掲載できませんが、内容を別で解説いたします。

 

D問題:
D問題は例年に比較して同等又は易化し、全体的に解答しやすい印象を受けました。
設問分をよく読み、別冊の写真をよく見ることでヒントが隠されているものもありました。
公衆衛生の問題でアンモニアの脱臭に関するものが出題されていたり、特定外来生物の設問がありましたが、広い視野で試験対策することも必要と感じました。

 

■まとめ

 

過去問題を中心に学習することは資格試験の対策として重要ですが、同じ問題が出題されることはほぼありません。

 

過去問題で傾向をつかみ、応用する形で対策をとることが大切と言えるでしょう。

 

早めに準備を始めて、得意分野・苦手分野を見極めて対策をとっていきましょう。

 

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