獣医学部5-6年生のカリキュラム徹底解説

獣医学部5-6年生のカリキュラム徹底解説

2回にわたって、獣医学部1~4年生ではどのようなことを学ぶのかをお話ししました。今回は5-6年生ではどのようなことを学ぶのかについてお話ししたいと思います。

獣医学部はコア・カリキュラムに沿って授業が進み、獣医師にとって必要なことをもれなく学ぶような仕組みになっています。

  • 導入教育、基礎獣医学教育分野

  • 病態獣医学教育分野

  • 応用獣医学教育分野

  • 臨床獣医学教育分野

このように4つの分野に分け座学・実習が進みます。

 

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5-6年では応用臨床を中心に学んでいきます。

応用獣医学教育分野では「動物衛生学」「公衆衛生学」「食品衛生学」「環境衛生学」「毒性学」「人獣共通感染症学」などの「動物と人間社会とのかかわり」や「薬などの物質の生物に対する影響」を学びます。

 

臨床獣医師教育分野では「内科学(消化器、循環器など)」「薬理学」「病理学」「外科学」「麻酔学」「手術学」「腫瘍学」などを学びます。病気の診断や臨床検査、治療方法などを勉強しますが、ボリュームは相当なものです。

しかも犬・猫などの小動物だけでなく牛・馬・鶏などの家畜や家禽のことも学習しますので計り知れない勉強量になります。座学で学んだ知識を実習で実践し、知識を定着させていきながら実際の場面で活用できるように訓練していきます。

 

他に専修教育が始まります。獣医師の将来の方向性は「臨床」「研究」「公務員」「産業動物」など多岐にわたります。それぞれが目指す方向に向けて専門的に学び、研究していきます。最終的に研究テーマをまとめて卒業論文として発表します。

 

最後に獣医学部で勉強したことの集大成「獣医師国家試験」と「就職」が待っています。

6年生のもう一つの大事なことと言えば、「就職」・「獣医師国家試験」です。就職活動は6年生の春ごろから始めほとんどの学生が秋までには就職先を決定します。そして年があけて3月には獣医師国家試験が待っています。この試験に合格し獣医師免許証を手にして初めて獣医師と名乗ることができます。

獣医師国家試験について
※農林水産省参照

 

まとめ〜獣医師になって思ったこと〜

私は大学を卒業して21年たちますが、もっと勉強しておけばよかったと思うことがたくさんありました。まず勤務医になって思ったことはアウトプットができないこと。インプットの勉強をしてきましたが、仕事になるとアウトプットに代わります。これは受験生の皆さんも同じだと思います。

 

テキストを読んだけど問題が解けないというパターンです。インプットした知識があり、問題を解くために、どの知識を取り出し、どのように使うのか?問題を間違えたらほったらかしにしないで、「どこがちがっていたのか?」「どうすればよかったのか?」を考えることが大切と言われると思います。その繰り返しで点数が伸びていきます。

 

獣医師になっても同じことの繰り返しです。治療をしても治らなければ「何か見落としはないか?」「治療方針が間違っていないか?」「もっとほかの方法がないのか?」を常に考えます。

 

受験生の皆さんにとっての点数は、臨床獣医師にとっては「元気な姿」と「飼い主さまの笑顔」です。みなさんの受験勉強は獣医師として仕事をしていくうえで大切な「考え方」「解決能力」の訓練につながっていくと私は考えます。

 

次回は、受験シーズンに入りますので「私立獣医学部の直前対策」についてお話ししたいと思います。

 

執筆者:平松育子先生(blog:平松育子の人生のストーリー