獣医学部受験の完全ガイド:入試対策から志望校選びまで徹底解説

獣医学部受験の完全ガイド:入試対策から志望校選びまで徹底解説

はじめに

獣医学部受験を考えている受験生の多くは、いわゆる動物のお医者さん(小動物獣医師)を夢見て受験勉強に臨んでいることでしょう。しかし、実は小動物獣医師は獣医学の長い歴史からみると新しい領域であり、獣医師は本質としては動物を通して人の健康を支える仕事といえます。以下に獣医師の多岐に渡る職域をあげます。

  1. 牛・豚・鶏・馬などの産業動物獣医師
  2. 犬、猫といった小動物を診療する動物診療獣医師
  3. 公務員として家畜伝染病の防疫や動物検疫といった家畜衛生や、人獣共通感染症予防や食肉等の食品の衛生を監視する公衆衛生獣医師
  4. 大学や研究所で獣医学に関する研究(主に感染症分野)や獣医学生の教育に携わる獣医師
  5. 野生動物対策や動物園動物等の管理を行う、野生動物を専門とする獣医師
  6. 医師と協力して実験動物を管理する等、ヒト医学分野で医療の発展に貢献する獣医師

上記のように、獣医師は生物系の就職先としては非常に幅がきくことがわかります。特に、新型コロナウイルスで注目された感染症研究分野は、獣医師が最も得意とする分野です。実際に、国内外で活躍する感染症研究者の多くは獣医師です。

獣医学部のある大学

獣医学部は医学部とは異なり、大学数が非常に少なくわずか17大学で、全体の定員も1000人ほどです。

医学部(医師)とは異なり、出身大学によって就職先の有利不利が発生することは少ないので、自分にとって最も適正のある大学選びが重要となります。人気の大学は、学費の安い国立大、首都圏の私立大学です。

国公立大学

私立大学

入試形態

国公立大学

一般入試(前期)においては基本的には5教科7科目の共通テストと、各大学での二次試験です。二次試験は数学ⅠAⅡB、理科1科目、英語の大学が多いです。

しかし、難関大である北海道大、東京大、東京農工大、大阪公立大は数学Ⅲ、理科2科目まで必要となり、これらの大学は国立医学部と同等またはそれ以上の難易度となっています。

私立大学

一般入試の個別試験は数学ⅠAⅡB、理科1科目、英語の大学がほぼすべてです。一般入試といっても、各大学で入試形式が複数用意されています。

そして大学によって入試日程が異なり、また必要科目も異なる場合があります。ご自分で各大学の最新要項を確認してみましょう。

また、推薦入試もありますが他の学部のように、「推薦がもらえた≒合格」とはなりません。面接対策や小論文対策が別途必要です。

入試難易度

入試難易度

獣医学部受験は医学部に次ぐ難関入試であることは間違い無いです。生半可な覚悟ではなかなか合格はできないでしょう。

しかし、獣医学部は大学によって入試難易度に多少違いがあります。例えば、国立でいうなら東大、北大は言うまでもなく最難関であり、農工大、大阪公立大は難関ですが、その他の国立大はほぼ同程度(旧帝大理系学部程度)の難易度です。

私立でいうなら、日本獣医生命科学大が最難関と言われることが多いですが、実際のところは日本獣医生命科学大は受かったが別の大学は全て不合格だった、なんてこともあります。

一方で、新設の岡山理科大学は他の私立に比べ比較的容易です。これは大学の立地が関係していると言えるでしょう。模試を利用して、自分のレベルにあった大学を見定めましょう。

入試対策

入試対策

北海道大、東京大、東京農工大、大阪公立大を除く国立大、私立大ともに問題自体は基礎〜標準問題で構成され、高得点(80%〜90%)で争う入試となっています。

したがって、どの科目も難関大の難しい問題で演習を行うというよりも、標準問題を多くこなしましょう。学校の問題集や塾のテキストなど、新しい難しい問題集に手を出す必要はありません。今まで解いてきた問題を何度も解いて、自分のものにしましょう。私立専願の受験生は、志望大学以外の私立獣医学部入試問題を解くことをおすすめします。

 

似たような問題が出題されることがあります。私立を併願する国立受験生は私立大の共通テスト利用試験も受けましょう。うまくいけば、私立個別試験を受けに行かずとも合格をもらえますので、国立二次試験対策に集中できます。

 

北海道大、東京大、東京農工大、大阪公立大を狙う受験生は国立医学部受験生と同等またはそれ以上の勉強量が必要となります。特に北大、東大は専用の参考書で対策をしなければなりません。

また、推薦や後期入試では面接が必須の場合もあります。獣医師の職域や倫理、感染症編考え方などが聞かれることが多いようです。自分なりに事前にまとめておきましょう。

まとめ

  1. 獣医師の職業像

    獣医師は動物の健康管理や治療を行う専門家です。診療や手術を行う他、研究や防疫活動、感染症対策など、幅広い活動があります。

  2. 獣医学部の存在

    獣医学部は全国に17校ほどしかなく、軒並み競争率が高いです。特に首都圏の大学が人気です。

  3. 入試形態

    国公立大学の一般入試(前期)では、共通テストと各大学独自の試験があります。私立大学では個別の入試試験が行われます。数学や理科、英語が必須です。国公立大学の一部は数学や理科が非常に難しいレベルの問題も出題されます。

  4. 入試対策

    過去問題を解くことが重要です。高得点の争いになるため、抜けがないよう基礎から学習することも必要です。また、推薦入試では面接や小論文の対策も重要です。志望動機や将来のビジョンを明確に伝えることが求められます。獣医師の職域について十分な理解が必要です。

  5. 志望動機

    獣医学部を志望する理由や将来の目標をしっかりと整理し、説得力のある志望動機を持つことが大切です。特に、感染症について獣医師としての在り方を自分なりに考えておく必要があります。

 

獣医学部受験は医学部受験と同様に難易度が高く、十分な準備と対策が求められます。自分の目指す将来のキャリアに向けて、計画的かつ効果的な対策を行いましょう。