獣医学部・歯学部CBT対策|演習と実践で臨床思考力が身につく学び方

獣医学部のCBT対策イメージ

CBT(Computer Based Testing)は、歯学部・獣医学部など医療系学部の学生にとって、学内進級・国家試験準備の重要な通過点となる全国統一試験です。主に4年次に実施され、基礎医学から臨床医学、公衆衛生、医療倫理まで、幅広い領域から出題されます。

近年は、単なる暗記問題ではなく「臨床推論」や「総合判断」を問う思考力型問題が増加しており、早期からの計画的対策が合格の鍵となります。本記事では、演習と実践を通じて臨床思考力を効果的に身につけるための学習法を解説します。

CBTとは?試験の目的と構成を理解する

── 歯学部・獣医学部生のための合格戦略

CBTの目的

CBTは単なる知識試験ではなく、臨床実習に出る前に必要な基礎・応用力を確認するための試験です。したがって、問われるのは「必須事項の正確な記憶」と「理解の深さ」です。医学・歯学・獣医学の体系的な知識を、臨床判断にどう応用できるかが評価されます。

CBTの出題形式と構成

試験はPC上で実施されるマーク形式で、合格基準は正答率65〜70%前後が目安です。

区分 内容 出題数(目安) 傾向
一般問題 基礎〜応用の知識確認 約150問 解剖・生理・病理・薬理中心
総合問題 症例・画像・判断型問題 約100問 臨床応用・思考力型問題
倫理・公衆衛生 医療倫理・感染管理など 約50問 社会的背景を含む応用問題

出題傾向の変化と対策方針

傾向① 「思考力型問題」の増加

ここ数年のCBTでは、症例提示やデータ解析をもとに答えを導く思考型問題が増加しています。

例題
犬が食欲低下を訴えて来院。血液検査でALT上昇が見られる。最も関連が深い臓器はどれか。

→ 症状 → 検査 → 臓器・疾患を関連づけて考える力が必要です。

傾向② 画像・表問題への対応力

レントゲン、CT、組織写真、血液データなどを読み取る問題も増加傾向にあります。単なる視覚記憶ではなく、観察 → 推論 → 判断の流れを意識しましょう。

傾向③ 公衆衛生・倫理問題の強化

感染症、動物福祉、医療倫理など、社会的テーマを扱う問題が毎年出題されます。時事的トピック(例:人獣共通感染症、感染症法改正)にも注目しておくことが大切です。

合格へのステップ学習法

CBT対策は、学年の進行に合わせて段階的に行うのが最も効果的です。

【STEP 1】3年次:基礎力の再構築
解剖・生理・病理など、全科目の基礎を“理解”で整理する。
  • 授業内容を整理しながら「なぜそうなるのか」を説明できるようにする。
  • ノートは「正常 → 異常 → 疾患 → 治療」の流れでまとめる。
  • 既習内容を過去問に結びつける「横断的学習」を意識する。
おすすめ学習法:各臓器・機能ごとに1枚のまとめノートを作り、基礎 → 臨床をつなげて記述する「1テーマ1枚ルール」。
【STEP 2】4年次前期:演習型学習の開始
問題演習を通じて、出題形式に慣れる。
  • CBT過去問・模擬問題集を1冊完璧にする。
  • 1問解くたびに「根拠」を自分で言語化する。
  • 苦手領域をノート化して“理解の穴”を埋める。
ポイント:正答率ではなく「理由づけの精度」を重視する。
【STEP 3】4年次後期:模擬試験・実戦演習
本番形式で思考力とスピードを鍛える。
  • CBT模擬試験(全国模試・予備校模試など)を受験する。
  • 時間配分と集中力を意識した“6時間耐久トレーニング”を行う。
  • 分野別の出題率を分析し、得点源を明確にする。
演習後に行うべきこと:誤答ノートを作る(原因と根拠を記録)→ 正答率80%以上になるまで繰り返す。
【STEP 4】直前期:知識の統合とメンタル調整
“覚える”から”使える”へ変換し、ピークに持っていく。
  • 苦手科目は要点カードで高速復習する。
  • 直前1か月は「出題頻度の高いテーマ」に絞る。
  • 睡眠・体調管理を最優先し、試験当日の集中力を維持する。

CBT高得点者が実践する学習戦略

1「知識を線でつなぐ」マップ学習

単発の暗記ではなく、機能、構造、疾患、治療を線で結ぶ。これにより、思考型問題への対応力が格段に上がります。

腎臓 → 構造(糸球体) → 機能(濾過) → 病態(ネフローゼ) → 症状(浮腫)

2「説明トレーニング」で思考力を鍛える

友人同士で「なぜそうなるのか」を相互説明する。アウトプット型学習は、理解の定着率を3倍以上に高めます。

3模試の「誤答分析」を最重視

正解率よりも、「なぜ間違えたか」を記録する方が重要です。原因を「知識不足/読解ミス/思考ミス」に分類して整理すると、再発防止になります。

4CBT=国家試験の”前哨戦”と捉える

CBTで培った思考力・問題分析力は、そのまま国家試験・臨床実習の基礎になります。単なる”通過試験”ではなく、臨床家としての基礎訓練と位置づけましょう。

おすすめ教材と活用法

種類 内容 活用ポイント
CBT過去問集 出題形式に慣れる 1冊を3周する(深掘り学習)
模擬試験 実戦感覚・時間配分訓練 分野別得点率を詳細に分析
参考書(要点集) 知識の整理 苦手科目の基礎補強に使用
CBT対策アプリ 隙間時間学習 通学中や休憩時間に反復

試験当日に向けた最終アドバイス

  • 見直し時間を確保(各ブロック20分前倒しを目標)。
  • わからない問題に固執しない(消去法+直感を信じる)。
  • 体調最優先(睡眠不足は集中力を半減させる)。
  • 本番前日は新しい内容に手を出さない。

まとめ:CBT合格のカギは「理解・演習・継続」

CBTは暗記試験ではなく、思考力・判断力・応用力を総合的に試す試験です。最も重要なのは、

合格への3つのサイクル

  • 早期に学習を始める
  • 演習中心で理解を深める
  • 間違いを分析して次に活かす

この3つのサイクルを回すこと。CBTを単なる通過点ではなく、「国家試験への土台づくり」として捉えた学習が、結果的に最短合格への道になります。

 
監修者プロフィール

Meg講師:平松 育子 先生

平松育子先生は、山口大学農学部獣医学科(現 連合獣医学部)を卒業された獣医師です。

卒業後は山口県内の複数の動物病院で代診として経験を積まれました。その後、山口市でご自身の動物病院を開業され、現在は大手動物クリニックの院長を務めていらっしゃいます。

授業においては、その豊富な臨床経験に基づいた、わかりやすく丁寧な解説が受講生から好評を得ています。