獣医学生の生活~2年生編~
皆さんこんにちは。現役獣医学生によるコラム、第3回目です。
前回は入学したばかり、1年生の暮らしについて紹介しましたが、楽しんでいただけましたか。
今回は最初の難関と噂される(笑)、2年生の暮らしについて紹介したいと思います。
本格的な座学のスタート
2年生になると共通教育は終了し(取りこぼしてなければ…(笑))、いよいよ本格的な授業がスタートしていきます。
2年生では主に解剖学や組織学など、動物の正常な体の状態を知るために不可欠な土台となる学問を学んでいきます。
ついにスタートした本格的な授業。
毎日新しい知識が増え、とても充実した日々が送れる反面、頭の柔軟性が重要な時期でもあります。
というのもとにかく覚えることが多い。(笑)
これでもか、という量の基礎知識を叩き込まなければなりません。
何事においても基礎があってこその応用かと思いますが、獣医学も例外ではありません。
動物の正常な状態を理解してはじめて異常に気付くことができるため、この2年生で学ぶ知識は全学年を通して非常に重要になってきます。
2年生が最初の難関と噂される理由はこのためかもしれません。
ユニークな実習の数々
2年生で本格的に始まるのは座学の授業だけではありません。
座学で学んだ知識を実際に体感する様々な実習もスタートします。
かの有名な獣医大学漫画にでてくる実習を実際に体験することになります。
愛読者であった私は、漫画の登場人物になった気分で楽しんでいました(笑)。
2年生で行われる実習は、座学と同様、解剖や組織学など基礎分野になります。
大学ごとで実習の方法等異なってくるとは思いますが、私の大学ではひたすらスケッチ、スケッチ、スケッチの毎日でした。
あれ、私って美術専攻だったかな…と何度も思いました。(笑)
顕微鏡酔いに悩んだ「組織学実習」
組織学では顕微鏡で標本をみて、それを色鉛筆でスケッチします。
小学生ぶりに色鉛筆を購入したのですが、染色の関係上、ピンクと青色ばかり消費されます。
2年生の頃は文房具屋に行ってはピンクと青の色鉛筆ばかり買い足していました(笑)
車酔いする人は顕微鏡酔いも悩みの1つかもしれません。
獣医大学では顕微鏡を用いた実習が多いですが、長時間使い続けると目がクラクラしてきます。
慣れれば顕微鏡を長時間使っても酔わないそうですが、私は未だに酔います…。(笑)
骨とお友達になる「骨学」
一方解剖学ではまず骨について学びます。
手足の骨や頭蓋骨と見つめあい、それをスケッチブックに描いて、先生に提出し、質問にクリアしたら帰宅できるのですが、これが一苦労。
画力のない私はいつも遅くまで残っていました。(笑)
骨学のテストもとてもユニーク。
教室に入るとテーブルに様々な骨が並べられており、そこに矢印マークが張られています。
生徒はそれぞれの骨の前に立ち、数十秒ごとに先生が合図するので、各骨の前をグルグル移動していき、矢印が指す部位の名称を回答していきます。
思い出せなくて時間がたりなくても先生の合図で次の骨に移動しなければならないのでとても緊張感あるテストです。
また矢印も分かりやすい位置には絶対に設置してくれません。(笑)
こういったタイプのテーブルグルグルテストは2年生でたくさん実施されますが、合格率がとても低く、大抵クラスの半分以上落ちます。(笑)
ですが先生たちは優しく(?)全員合格できるまで何度も再試して下さります。
最後の方は2人とかで骨の前をグルグルしないといけなくなるのでとてもシュールですが…。
「骨と友達になれ」が先生の口癖だったので、テスト前はみんな空コマに解剖室にいって骨をさわっていました。
これも獣医大学特有のあるあるなのかなと思います。(笑)
命と向き合う「解剖実習」
獣医大学では実際の動物を用いた解剖実習が行われます。
解剖実習には大学内外で賛否の声があり、世界中で議論の的ですが、動物達の尊い命の協力のもと座学だけでは知ることのできない多くの知識が得られます。
獣医学生であるとよく“解剖辛くないの?”と聞かれる機会があるのですが、もちろん辛いです。
獣医学生は動物が好きな人ばかりなので、解剖実習は多くの学生にとって乗り越えなければならない大きな壁になります。
ですが、学生はこの実習を通して座学だけでは得られない知識と経験を積むとともに、命の尊さに向き合うことになります。
多くの動物達の協力があってはじめて獣医師になることができるため、解剖実習は私達に獣医学生としての自覚と責任を身に着けさせます。
解剖実習は身体的にも精神的にも厳しい実習ですが、同期の友人達と協力し合い乗り越えれば、より成長できることと思います。
学外活動も楽しめる!
2年生になると確かに座学や実習で忙しくなりますが、サークル活動やアルバイトと両立させている学生も多くいます。
特にサークル活動は中心学年となるのでより本格的に活動できると思います。
また個人的におススメなのが運動と英語学習を継続することです。
獣医師は体力勝負なお仕事で、獣医学生の実習でも体力が重要になることが多いです。
私自身運動音痴で全然運動してこなかったので、本格的な実習が始まった今、体力の重要性を痛感しています。(笑)
これは受験生にとってもいえることだと思いますが、健康第一なので、頭をリフレッシュさせる意味でも軽い運動を継続させることをおすすめします。(私はYouTubeにある有酸素運動を始めました(笑))
またあらゆる分野でいえることですが、獣医学分野においても英語が重要になってきます。
獣医療の分野では、新たな治療法や病気のとらえ方など日々情報が更新されていきます。
最先端の情報を入手するには英語の論文を読むことが不可欠。
もちろん卒業研究に取り組むうえでも多くの英語論文を読む必要があります。
またグローバル化が進む現代、特に都市部の動物病院に勤めた場合、外国の方が飼い主さんであるケースが少なくありません。
獣医師を目指す皆さん、英語の学習は受験に必要なのはもちろんのこと、実際に働くときにも大きな武器になります。
英語を勉強すれば、受験で有利なだけでなく大学でも仕事でも有利になる、とてもお得な分野なので(笑)、ぜひ力を注いでほしいです。
また、大学には様々な国から留学生が学びに来ており、彼らと交流できる場もたくさんあります。
高校で土台を身に着け、大学では実践で楽しみつつ英語を上達していけます。
今回は最初の難関といわれる2年生の暮らしについて紹介しましたが、いかがでしたか。
もちろん大変な時期ではありますが、それと同時にとても充実した楽しい日々でもあります。
次回は中間学年の3年生の暮らしについて紹介したいと思います。
それではまた。